DAC(ES9039PRO)AMPの試聴感想、兵庫県KF様からの報告です。
DACAMPとAMPDACが混在しておりました。両者同じですのでご理解ください。
DAC部は2CHIP構成のDUAL MONOでアナログ回路構成はES9038PRO DACと同じです。AMP部はAIT STEREO POWERとほぼ同じ回路ですがBIAS制御方法が異なります。性能は個別機と同等です(THD+N<0.001%,SN(A)>120dB)。
DAC CHIPはES9039Q2M、ES9038PRO等に変更可能です。ROHM製BD34301(BD34352)は検討しましたが、PCM/DSD共,高fs時の性能が不十分でしたので採用しません。
以下は送付された感想です。
先日お借りしましたマザーボード型DAC AMP(ES9039PRO)の試聴感想となります。
まず前提として、当方はこれまでAITのDACやアンプは使用したことがなく、ハイエンドはおろかミドルレンジと呼ばれるような数十万のDAC、アンプも使用したことがありません。また、所謂ニアフィールドでの試聴で、貴社製品を使用するメインユーザーと思われる層とは異なるリスニング環境であることはご留意ください。使用スピーカーはmusikelectronic geithain ME25で、PCから本体のDDC段へUSB接続し使用した感想です。
当初は現在使用しているデジタルアンプと聴き比べながら相対評価で感想を書こうかと思っていましたが、試聴開始数秒であまりの音質差に流石に比較するのは失礼と思い直したため、絶対評価で書かせていただきます。
まずDAC AMPに火を入れたときにあまりの静寂に驚きました。非再生時のホワイトノイズが皆無です。スピーカーユニットに耳がつくくらい近づいても全く何も聴こえません。そして試聴開始。一聴して感じたのは分離感と定位の良さです。LRの音場の中で各音の発生点が膨張せずフォーカスがばっちり合っています。また、音楽が奥行をもって3次元的に聴こえます。どこにどんな音が配置されていてどんな処理がされているかが見えると言いますか、ミキシングエンジニアの意図を汲み取れるくらいの描写力です。聴感上の印象を言葉にするとこんな感じですが、きっとS/NとTHD+Nの特性の良さが表れているのだと思われます。DAC部の性能が極めて高いことを実感しました。
アンプは、ボリュームを絞っても音痩せせず、音の消え際まできれいに描き切ります。これはニアフィールドで使用するうえで大きなメリットです。そしてボリュームを上げていってもうるさいと感じません。バイアス電流をLからHにすると発熱がかなりあります。個人的にA級アンプを使用した経験がなかったのもあって少し驚きました。触れないほどではないにしても筐体がかなり高温になっていたので、冬場は暖房にいいですが夏場はどうなるのだろうと不安を感じるレベルです。当方の試聴環境と音量ではLでもほとんど音質差は感じなかったので常時Lでの運用で良いかなと思いました。DAC単体で使う分には発熱はほぼ感じなかったです。
オーバーサンプリングも切り替えながら試してみました。CDスペックのソースで試しましたが、NOS→16xではぐっと奥行きが出てキックなどのアタックの強い音はタイトになる感じで、16x→DSD1024では解像度を維持したままややウォームになるという印象でした。DSD変換が気に入ったので試聴期間はずっとDSD変換で聴いていました。PCで再生するYouTubeやRadikoのような低ビットレート音源でもある程度聴けるレベルにお化粧してくれます。
最新のJ-PopやEDMから50年代のモダンジャズまでいろいろ聴いてみましたが、空間に余裕を持たせた音数の少ない音源の方がよりその良さが引き立っていい感じに聴こえます。音源がもつダイナミクスの大きさが明確に露わになる印象ですが、コンプを強く効かせた感じの音源や非ハイレゾ音源でもDACの素性の高さと前述のオーバーサンプリングで平坦さをある程度ほぐしてくれるところが良いです。
気になった点としては、やはりデスクトップで使うには筐体サイズが大きいです。特に奥行方向は置くと机の半分を占有してしまうのでもう少し奥行が小さいと嬉しいと思いました。また、電子ボリューム採用とのことなので本体のエンコーダはインクリメンタル形にしてリモコンでアンプの音量調節をできると便利だと思いました(理由があって今の構造であるのであればすみません)。
予価40万円(税抜)と決して安い価格ではないですが、この音質が得られるなら、と思わせるだけの素晴らしい製品に仕上がっていると感じました。
正直ニアフィールドリスニングにこのレベルのDAC AMPが必要なのかという自分の中での葛藤がありますが、導入するかどうかゆっくり検討したいと思います。